「ほおづきの笛」
「浮竹隊長、そのほおづきはどうされたのですか?」
「いやあ、これは実家に帰った際にあまりにもきれいだったものだから、
雨乾堂の床の間にでも飾ろうかと思ったら、大量に持たされてな。」
「大きくてきれいなほおづきですね!!」
「だろう?
・・・そうだ、お前たち、ほおづきで笛ができるのを知っているか?」
「笛、ですか?」
「笛というよりは、音を鳴らして遊ぶおもちゃのようなものだ。
もし知らないなら、こんなに沢山ある。
休憩時間の時にでも、一緒に作ってみないか?」
「隊長!!自分もそのほおづき笛づくりに参加してもよろしいでしょうかッ!!」
「あっ!!小椿ずるい!!隊長、自分も参加したいでありますっ!!」
「・・・仙太郎も清音も全く・・・ほおづきは、ほらこの通り沢山あるぞ。
朽木はどうする?白哉はこんな遊び知らないだろうから、驚かせてやるか?」
「兄様はこのような遊びを知らないでしょうね。知りたいとも思わないでしょう。」
「まあ、あいつの性格からしたらそうだな。
(でも、朽木がやることであれば、全て知りたがるんだが・・・)」
「でも、ほおづきがすごく懐かしくて。
だから、ご一緒させてもらってもよろしいでしょうか?」
「ああ!じゃあ皆でやってみようか!!」
「まず、ほおづきの実の皮をこうやって裂いて、中の実を」
「もいでしまってよいのですかッ???」
「まて小椿、もがずに、こうやって後ろで束ねるんだ。
・・・羽つきの羽みたいな形になるだろう?」
「本当です!!羽みたいです隊長っ!!」
「それから、その橙色の実の部分、それをずーっと揉んでいくんだ。」
「どのくらいですか隊長ッ??」
「そうだなぁ・・・実が柔らかくなると、中の種が表面にまで浮いて見えてくるんだ。
それからもゆっくり揉んで行くと、実の付け根から中の汁が出てくるようになる。
それくらいまでゆっくり揉んでみよう。」
「・・・これ、いつまで揉めばよろしいのでしょうか隊長・・・」
「うーん、結構時間と根気が必要なんだ。」
「よし、俺は根気強く粘るぞ!!」
「あんたになんて負けられないわよ!!私だって根気強く揉むんだから!!」
「・・・あの、小椿殿も虎鉄殿も、そんなに強くされては・・・・」
―・・・びちゃ!!!
「うわっ!!破れやがった!!」
「ひゃ・・・私のも・・・」
「こらこら、そんなに力を入れて揉むと、ほおづきの皮が破れてしまうぞ?」
「もう遅いですよ隊長~!!」
「おい清音、朽木は上手い具合にやってるぞ!!」
「え、ホント?朽木さん・・・わぁ、すごい器用!!」
「清音が不器用なだけだろ??」
「アンタに言われたくないわよこの顔デカ男っ!!」
「何を~!!このチビ女ッ!!」
「おいおい・・・とりあえずお前たち、手を洗っておいで。
朽木は上手いこといっているようだな。」
「はい・・・でも、このような感じでよろしいのでしょうか?」
「ああ。表面に中の白い種も沢山見えるようになっているから、
もう少ししたらここの付け根から中の汁が少しずつ出てくるようになるさ。」
「その後はどうすればよいのですか?」
「それを少しずつ出してやって、最後に種が付いていた中の芯があるから、それを上手く
引き抜いてやって、洗えば完成だ。」
「うわぁ。朽木さん、すごい・・・」
「さすが、どこかの鼻くそ女とは違うな。」
「何いってんのよ、どこかのあごひげ男と違うのよ!!」
「おいおい・・・」
「ところで、これをどうやって笛として吹けばよろしいのでしょうか?」
「それを口に含んで、舌で上手く潰すと、音が鳴るんだ。
・・・昔はそうやってよく遊んだものだなァ。」
―・・・ぶーーーっ!!
「・・・あまり、きれいな音ではないですね・・・?」
「でも、昔の子どもそれさえも面白がってやったものでな?
そんないい音が鳴らせたやつは、一躍子どもたちの中で注目されたり羨ましがられたりしたもんなんだよ。」
「では、なかなか鳴らせない人間もいたということでありますか??」
「そう、大体がさっきの仙太郎や清音みたいに、潰してしまうんだよ。
上手く最後まで作っても、不器用で鳴らせない子もいてな。
・・・俺もよく兄弟たちから泣かれたもんだよなあ。」
「浮竹隊長は、小さい頃はどんな遊びをほかにされていたんですか?」
「あっ!!それは自分も聞きたいでありますッ!!」
「ずるいわよ仙太郎!!自分も同じく聞きたいありますっ!!」
「そうだなあ・・・色々思い出すなあ・・・
あとは、そうだな、こんなこともやったぞ??・・・」
お盆で帰省したときのホオヅキの山を見て、つい・・・
誰を出演させるかと思ったときに、ぱっと浮かんだのが「浮竹保育園(または、祖父十四郎と孫3人)」でした。
ホオヅキ笛は、大量に頂いたホオヅキを見た祖母が発端になり、思いっきりティーンエイジャーの従兄弟2名が
「出来たら1000円」につられてチャレンジしていましたね。
結果は・・・やはり仙太郎氏や清音氏のようになりましたが、その間現代っ子の従兄弟たちが
携帯を全く持っていじらずにほおづきを揉んでいたのに驚きました。
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