『翌檜』
翌檜・・・ヒノキにはなれない、
けれど「明日にはヒノキになろう」と
一心に天を目指して伸びていこうとする木なんだとよ。
ほら、まだうつむいてるつもりかよ。
下向いてりゃそれにつられてどんどん落ち込んでくもんだろ。
意地でも無茶でもとにかく顔あげろっての。
たとえどんなに叶わねぇと思ったことでも、やってみなきゃわかんねーだろ。
・・・それでも無理なら、その時考えりゃいいじゃねーか。
一度や二度行き詰っても、別なところに突破口が開いたりすること、あるだろ?
ヒノキそのものになれなくてもさ、
翌檜は、同じくらい良い香りがするんだってな。
ヒノキを目指しているうちに、自分自身も負けないくらいの力を持ったんだろーよ。
生きてりゃ陽はまた昇るもんだ。
明日も、あさっても、その先も、だ。
何回も「明日」を目指してるうちに、自分も世界も変わってるかも知れねーだろ?
どうしても辛いときには、俺が肩くらいなら貸してやるよ。
背負ってるものを少し俺に任せれば、軽くなるだろ?
軽くなった分、余裕も出るだろ?
・・・だから、顔は上げとけよ。
あの木が、なおも上を目指すように。
「翌檜」・・・あすなろ、という針葉樹。
この木を見た時、一護をふと思いました。
これを語りかけている相手は、特に限定していません。彼なら誰にでもこういいそうだな、と。
お兄様の後ろでうつむいている妹さん、そのお兄様になかなか勝てない幼馴染、
自分の非力を突きつけられている織姫ちゃん・・・そのほかにも、自分自身を鼓舞しているかも知れませんね。
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