天竺葵

 

『心に咲いた、花の言葉』
 
 
私ね、朽木さんの強さに憧れたりしていたんだよ?
それから・・・自分がどんなに情けないんだろうって思ったりもしたの。
私も、誰かを、何かを護れるだけの力が欲しいって、心から思った。
 
あの時・・・朽木さんがいなくなったとき、私、何も迷いなんて無かった。
自分の力の弱さなんて、考えてもいなかった。
ただ、朽木さんを助けに行きたい!行かなきゃ!・・・それだけだった。
 
でも、
・・・あの世界で、私、一体何が出来たのかな・・・?
 
現世に戻ってきてから・・・さらに自分の弱さを突きつけられた。
くじけそうだった。泣きたくて仕方なかった。
悔しくて、悲しくて、そんな自分が情けなかったの。
強い朽木さんが羨ましくて、どうしたらいいか分からなかった。
 
そんなとき、朽木さんが私の修行に付き合ってくれて、
ずっと一緒にいてくれた。
・・・いろんな話もしたよね。
朽木さんも、色々あって、ものすごく悩んで、迷って、今に至ってるって。
そんな話を聞いて・・・私、一人でいるよりも、ずっとずっと、心強かった。
心から、友達って、仲間っていいな、そう思ったの。
 
ねえ、朽木さん、
天竺葵の花言葉って知ってる?
「決意」っていうの。
鮮やかに咲くその花の言葉は、まるで朽木さんにぴったりだなって思った。
だって、私と違って、あの時の朽木さんには、
何かを目指すような燃えるような気持ちが見えたんだもの。
 
 
・・・黙って行って、ごめんね?
でも、あっちで、
私には何かみんなとは違う「力」があるんだってことを知った。
 
私、もう泣かないよ。
あの時、私には何も出来なかったかもしれないけれど、
今、私にできることを見つけた。
そう、私にしか、できないことを見つけたの。
たった一人でも、ありとあらゆるものから敵とみなされても、
・・・絶対にしてみせる、そう思った。
 
なのに、
私のことを助けに来てくれた・・・裏切り者の烙印を押されたはずの私を。
信じてくれたんだね、私のこと・・・。
嬉しかった。本当に嬉しかった。
みんなの中の『仲間』という言葉に、私がまだいるんだ、そのことが嬉しかった。
・・・でも、私、助けられるだけなんてもう嫌。
 
・・・朽木さん、あなたのように強くなりたい!!
強くなって、それから・・・
・・・みんなを護れるようになりたい。
 
私にしかない、私だけの、拒絶という名の「護る」、力で。
 
 
 
私の中にも、咲いた。
燃えるような『決意』の花が。

 

 

 

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