「約束の実」

 

「おじちゃん、見て!!どんぐりだよ??」
「ム・・・」
「わぁ、こんなにいっぱいある!」
 
 
「あっちにいた頃ね、友達といっぱい拾ったんだ。」
「そうか。」
「おじちゃんは、拾ったりしなかった?」
「俺はお前くらいのころには、日本にいなかったんだ。」
「へぇ、そうなんだ・・・・ねえ、おじちゃんがいたのは外国ってこと?」
「まあ、そんなところだ。」
「どんなところだった?」
「・・・・」
「おじちゃん・・・?」
 
 
-アブウェロ・・・俺は本当に強くなれたのだろうか、貴方が言うような・・・・―
 
 
 
「まあ、色々とあったな。」
「ふーん、そうなんだ。」
「お前は、生きていたとき、どうだったか?」
「ボクはね、とっても楽しかったよ・・・友達とかけっこしたり、鬼ごっこしたり、一杯遊んで・・・
それからママとお使いしたり、・・・ママと・・・」
 
 
―貴方が俺に教えようとした本当の強さ、俺は理解できているのだろうか・・・―
 
 
「シバタ、お前のママは、きっとこの広い空の下にいる。
だから、諦めるな?
そして、強くなれ。お前のママは、お前がこっちに来ていることを知らないかもしれない。
もしもそうならば、お前を探したくても探せないだろう?」
「うん・・・」
「だから、おまえが強くなって、お前がママを探すんだ。
お前は、ママがこっちに来ているということを知っているんだからな。」
 
 
「・・・おじちゃん?」
「・・・よし、これが大きくて良いか。
昔、俺のアブウェロ・・・おじいさん、が、俺に宝物をくれたんだ。
・・・シバタ、お前には俺からこれをやる。」
「・・・丸くて大きなどんぐりだ・・・」
「多分、柏の実だろう。・・・柏餅、知っているか?」
「うん。」
「あの餅についている葉っぱの木の実だ。」
「へぇ、こんなに丸くて可愛い実がつくんだ。おじちゃん、いろんなこと知ってるんだね。」
 
「・・・お前に、ソレをやる。
もしも辛かったり、悲しかったり、くじけそうになったら、ソレを見て思い出せ。
俺が言ったことや、お前が強くなりたり理由を。」
「・・・ボク、大丈夫かな・・・」
「ああ、大丈夫だ。お前は一度ママを守ろうとしたじゃないか。
その結果、お前も死んでしまったが・・・何かの縁で俺と出会い、今こうしてここにいる。
お前なら、きっと大丈夫だ。」
「うん、ボク、頑張る。諦めないで頑張るよ!!」
 
 
「・・・約束だぞ?」
「うん!!」
 
 
 
 
どんぐりの実の中でも、柏の実って比較的まんまるくて可愛くて、好きです。
そんな柏の花言葉、あるかなと思って調べたら、「愛は永遠に・勇敢・独立」・・・

おお、チャドがシバタくんに伝えたいモノにぴったりではないか、と思って。

 

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