しろつめくさ

『ボクがまだ若かったころ・・・~本気を出さないボクの、本気の願い~』

 

しろつめくさ、ねぇ・・・懐かしいもんだよ?

色々と、思い入れのある草でさ、これでも。

 

え?ボクには似合わないって?
まあ、そう言わずにボクにも語らせておくれよ。
 
そりゃぁ、ボクはさ、こんな風体だし、
いつも七緒ちゃんを怒らせてしまうし、
道傍に生えているような草を愛でるようには見えないだろうね。
 
 
確かに、ボクは昔から遊び人で、
シビレを切らした身内に半ば強制的に学院に入れられたもんさ。
もっとも、ボクはそこでも特に自分を変えることなんてなかったわけだ。
 
そう、変える必要もなかった。
・・・たった一人だけ、自分を理解してくれる友達がいてくれたからね。
 
 
その友達はさ、ボクとは違って真面目でおおらかで、
周囲を包み込むような「なにか」を持っている。
その「なにか」が、ボクをそのままでいさせてくれる。
 
・・・だからボクは、逆にブレずに今こうしていられるのだろうね。
 
いい加減にしろつめくさの話をしろって?
そんなに急ぐこともないじゃないか。
・・・仕方ないなァ。
 
 
そうそう、あれは学院時代・・・
学院の授業が終わって、放課後、近くの川べりを散歩していたときのことなんだ。
彼がふと、ボクに笑って手招きをしたんだよね。
・・・彼の無邪気さは、今も昔もかわらないもんでさ。
 
 
-京楽・・・四葉のしろつめくさだぞ?
-ン?・・・何?そんな草がどうしたんだ?
-これはな、持っているといいことがあるらしいぞ?
-いいことって一体なんだい?
-願い事がかなうとか、そんなもんじゃないかな?
 うちの兄弟たちも、しろつめくさを見ると、みんな四葉がないか探していたなァ。
 ・・・もっとも、うちは貧乏だから、そういう遊びしか出来なかったんだけどな。
 
 
-・・・卑下はするなよ、浮竹。
-べつに卑下はしていないさ。
 ま、とにかく・・・見つけたら、持っていたらいいことがあるって言うしさ。
 ほら、君が持っていろよ。
-・・・ボクが?そんなにボクが不幸に見えたりするのかい?
 
-そうじゃないけれどさ、
 自分の幸せのために探したり見つけたりするよりも、
 自分以外の誰かのために探したり見つけたりしたもののほうが、きっと
 より願いが叶ったりするような気がするから。
 
-浮竹、キミって人間は、どこまでお人よしなんだい?
 
-ははは・・・よく言われるよ。
 
 
結局、その「しろつめくさ」、たしか浮竹に押し付けたんだよな。
ボクがそんな趣味ではない、ということもモチロンあった。
けれど、あの時何よりも思ったのは・・・願ったのは・・・
 
 
-これから先も、キミに『友達』でいて欲しい・・・元気でいて欲しい-
 
 
まァ、元気かどうかはともかく、彼は今もよき友達のままだ。
 
自分以外の人間のために探したり見つけたりしたほうがご利益あるなら、
自分以外の人間のために願掛けをしたってご利益あるかもしれないだろ?
 
 
 
・・・こんなボクにも、そういう時代があったものさ。
 
 
 
 
 
ミスマッチシリーズ、京楽隊長としろつめくさ!!
浮竹隊長には似合いそうだったので、そこからふわふわと絡めたら、こんなことに。
しかも、なんか傍に酒を抱えて語っていそうな感じが・・・(笑)
 

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