『金色の鎮魂歌』
こんな美しい秋の夕日、久しぶりに見たような気がします。
・・・師匠・・・
貴方と見た夕日が、恐らく僕の記憶の中で一番美しい風景のような気がします。
貴方は色々なことを、僕に授けてくださりました。
貴方が僕に授けて下さったものは、この夕陽の様に世界を包む温かな思いに満ちていて、
僕はそれを受け止めるのが精一杯でした。
貴方ほどの思いを抱くには、まだ僕は力が足りないのかもしれません。
ですが、
まだまだ真の継承者であるあの人には及ばないかもしれないけれど、
それでも僕は、今なら、
あなたの志を真に継いだのは僕なのだ、と、誇りを持って言い切れる自信があります。
・・・真に護るべきものは、立場や時間や世界を超えてもなお、同じなのだと。
だから、僕は・・・
行って来ます、虚圏へ。
そして、戻ってきます、この世界に。
夕日に照らされ、散る銀杏は、羽ばたく鳥のようですね。
金色の輝きを纏った・・・
風に揺れて一斉に舞うさまは、荘厳さをも感じます。
・・・僕も屈することなく、羽ばたいてきます。
師匠、あなたの志を胸に、真に護るべきものを護るために。
荘厳さは無いかもしれないけれど、
再び纏った、この力で、堂々と戦います。
敵味方関係なく、あなたは人々のためにその力を尽くされた。
それはきっとあなたにとって、目の前で苦しんでいる「存在」こそ
護るべきものだと考えられていたからでしょう。
僕も、たとえ友が敵とみなされようと、その友を助けに行くために尽くします。
僕にはまだ護るべき「存在」なんて・・・広く深く護るだけの力は無いけれど、
共に立場を超えて戦い抜いた「仲間」を護るだけの力はあるはずだ、そう信じています。
・・・それは、貴方が望んでいた姿、でしょうか?
死神だろうと何だろうと関係なく、手を携えて共に闘う・・・
僕はまだ、許せないところもあるけれど、
それでも、その感情を超えて・・・羽ばたけると信じています、みんなとならば。
死神の力を持っていようと、何だろうと、それでもやはり、
・・・友達だと言えるから、仲間だと思えるから。
だから、戻ってくるその時まで、
師匠、
僕を信じ、待っていて下さい。
きっと、僕は帰ってきます。
貴方が望んだような戦いをし、貴方が望んだような護り方をできるようになって。
それが、今、師匠・・・
旅立つ僕が今、貴方に捧げることのできる、
・・・貴方への鎮魂の想いです。
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