『不変の愛を叫んでみる、けれど・・・』

(ある年の大晦日、三番隊、六番隊、九番隊の副隊長たちで飲んでたときのこと・・・)


「檜佐木先輩・・・俺たちコレからどうなるんでしょうかね・・・」
「どうなるって、イヅル、何どんよりしてんだよ酒の席で。」
「だって、僕らって・・・本編でも番外編でも、散々じゃないですか?
唯一輝いてるのって、阿散井君だけですし。」
「・・・え?俺??」
「そうだな確かに、番外編のアニメでも俺たちの中で唯一斬魄刀を屈服できたのも阿散井だけだし、本編でも俺たちヘタレてるしよ・・・」
「でも檜佐木先輩はいいじゃないですか。
一応、今年度最後の本編で、いいところを見せられたから。」
「まぁホラ・・・イヅル、そんなに暗くなるなって。
来年こそはいいところを見せてやろうぜ。
・・・そうだな、よし、来年の抱負でも今から語るか!!」
「ええ??・・・来年のことを言うと、鬼が笑うとか言いません?先輩・・・」
「まぁいいじゃねーかイヅル。先輩だってオメーのことを心配して言ってるんだぜ?
それによ、明るく生きてーじゃねーか??」
「そうだね・・・」

「じゃ、まずは俺から語るか。
そうだな、来年はよ・・・俺の名前にあるような『檜』みてーによ、凛々しく香る一流の良い男になりてーな。
そして不変の思いを抱き続けて一心に前進し続けるような熱いところも併せ持っていてーなぁ。」

「おお、言いますね先輩・・・なぁイヅル。」
「(・・・どうせ、続く言葉はいつもの先輩だよ、阿散井くん)」
「(どういうことだ?)」

「そんでもって、男ぶりを上げて、乱菊さんに良い所を一杯見せて、俺の虜になってもらって・・・
あー乱菊さん、
俺はアナタから逃げたりいなくなったりしませんから。
さぁ、迷うことなく俺の腕に~~~~っ!!!」

「・・・どうしようか、イヅル・・・」
先輩に付ける薬は無いから、放っておこうよ。」
「で、オメーの来年の目標とかって、なんだ?」


「・・・そうだね・・・
干し柿全滅運動とか、キツネうどん不買運動とか・・・
「おい!!!!!」


「・・・冗談だよ。干し柿は乱菊さんも好物だし、キツネうどんには罪ないし、僕も好きだから。」
「いい加減、前向きなこと言えって。気持ちからいかねーと。」
「うん・・・
じゃあ、僕も強くなって・・・色々と傷つけてしまった雛森さんに、せめて何か・・・」
「雛森も、もういいって言ってんだろ?」
「うん、でも・・・僕の気が済まないから。
もっと強くなって、昔の僕らのような、前向きな感じになってさ・・・
そう、雛森さんにも一杯何かしたいし、それだけじゃなくてさ、
こうやって色々あったけれど・・・僕がしっかりして、ちゃんと隊を引っ張って行けたらって思うんだ。」
「お、いい目標じゃねーかよ!!
そう来なくちゃな、イヅル!!」

「でも、僕・・・やっぱりキツネの人に比べたらカリスマもないし、力も無いし・・・
嗚呼、なんだか不安になってきちゃった・・・。
僕、メガネ割った人みたいに嘘でも演技でも包容力もないし・・・
こんな大それたこと、言うべきじゃなかったかもしれない・・・ごめん・・・」

「・・・なんでこうなるんだ、俺たちが揃うと・・・」
「・・・檜佐木先輩も、妄想の世界からまだ戻って来れないみたいだしね。
じゃあ、阿散井くんの目標ってなに?」
「そうだな、俺は・・・やっぱりありきたりだけどよ、強くなりてぇな。」
「どうして?」
「そりゃぁ、決まってんだろ。アイツを取り返す為だ!!
そのためには、まずは超えなきゃならねぇ襟巻きチクワの壁をぶっ倒してだな・・・」



「ほう、流石我が隊の副隊長として常に向上心を持つというのは良い心がけだが、
・・・取り返すべき「アイツ」とは何者で、如何にして襟巻きチクワ壁を倒すのか?恋次」


「※&%$●#☆&@*★&◎#$※~!!!!!!!」


「・・・な、なんですか隊長・・・いきなりこんな一般の平民がいそうなところに・・・」
「そこの向かいの店に用があって共に出向いたまで。
何やら騒々しくも聞きなれた声が耳に入ったが故、我が部下が粗相でもしていなければ良いがと思ってのこと。」
「向かいの店・・・?共に・・・?」

「兄様!!・・・お待たせして申し訳ありませんでした!!
・・・恋次、お前、何故此処で飲んだくれているのだ?」
「ル、ルキア・・・????」
「どうやら我々と違い、平民は年明け前から宴会を催し、奇声を発するの常のようだ。
我々のように心静かに穏やかに年を送り、清々しく年を迎えるという考えは無いらしいな。
・・・ゆくぞ、ルキア。」
「あ、はい、兄様・・・
恋次、あまり飲みすぎるな?・・・良い年を迎えるようにな?」


「・・・おーい、阿散井くん??」
「・・・俺、一気に酔いが醒めた・・・。
年の暮れの最後の最後に、あんな爆弾はねーだろ・・・・」
「でも、朽木さんには会えたんだから、ね?」
「イヅル、お前ってほんと、いい奴だよ・・・・」
「それで、来年は・・・襟巻きチクワの壁は超えられそうかい?」
「・・・再来年の目標でもいいかもしれねぇ。」
「うん、そうだね・・・
鬼も今のを見たら、きっと笑わずに同情してくれそうだね。」
「・・・鬼よりも怖ぇーよ。」

「でもさ、きっと何があっても、あの人だけは来年も変わらないで幸せそうだと思わない?
不変だよ、あの人だけは。」
「・・・そうだな、ある意味、幸せだな・・・。」

「乱菊さぁ~ん!!俺はやりますよぉ~!!!!!
俺は男になりますよぉ~っ!!!!!!
そして俺だけはあなたに不変の愛を捧げますから~!!!!!」


(おまけ)
「全く、恋次は相変わらずだな・・・」
「年の暮れですし、きっと奴なりに色々と心に溜まっていることもあるのでしょう。」
「そうやもしれぬな。周囲に迷惑を掛けておらぬのであれば、醜態にも目をつぶってやらねばならぬな。」
「兄様、お優しいのですね。」
「しかし・・・あ奴が猛々しくも叫んでいた襟巻きチクワ、とは・・・一体誰のことであろうか。」
「・・・、」
「よほど恨みを抱いているようだが・・・心身共に清浄に努めねば、
己を鍛えることも侭ならず、強くなれるものもなれぬというのに。」
「・・・そ、そうですね・・・。」



誕生花に加え、更にヒノキつながりで、檜佐木さんを出しつつ、その仲間であるイヅル君と恋次氏を出してみました。
ヒノキの花言葉は「不変」。
本当はもっとかっこよく書きたかったんですが・・・ダメでした。流石ヘタレ三兄弟。

・・・そして、自分のことを言われているのに気付かない兄様・・。
あなたもきっと、不変の存在ですわね。

 

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