・・・一護、
俺はお前が力を失ってからの有様を見ているのが本当に辛かった。
水を与えられずに萎れた草のようだった。
それでも意地を張っているのか、強がっているのか、
悪態をつくお前を見ているのは耐えられなかった。
それは俺にとって掛替えのない友人だと思うからこそ。
だからこそ、俺には分かっていたんだ。
お前には必要なものがある、必要だからこそ取り戻さなければならないものがある、と。
お前が此れまで抱いてきたもの、
面倒なものを負ったと思いながらも、それでも自分の信念のために振りかざしてきたもの、
厄介なものでもあり、誇りでもあったもの、
一護、お前は誇り高き男だ。
本当に必要なものを、欲しているものを理解しているはずだ。
そして、何があろうと其れを得ることも出来るはずだ。
悪態をつきながらもその身に力を欲しているお前なら、
たとえ昨日はその力を削がれていようとも、
きっと今なら。
・・・一護、
貴様は一体何をしておるのだ、このたわけが。
此方からは貴様の萎れて目も当てられぬ姿が丸見えなのだぞ。
おまけに周囲に悪態まで付きおって。
そんな今の貴様なぞ、アクが逆に強すぎて虚さえも襲って喰おうとは思わぬわ。
貴様は、そういう男か?
力を失って「はい分かりました、普通の人間として生きていきます」という男か?
私が知る貴様は、簡単に己の在り方を捨てられるような男ではない。
貴様が亡き母上に誓ったこと、
面倒な力を持ったと思いながらも、貴様が兄として産まれたが故に持ちえた矜持、
そして・・・私に、井上に、皆に、そしてあの街に危機が迫ったときに抱いた思い、
一護、貴様はその一念を貫くだけの力のある男だ。
本当に貴様が為すべきこと、そしてそのために必要なものも理解しているはずだ。
そして、其れを必ず成し遂げることも出来るはずだ。
力を失ったことに満足していると嘯きながらもその胸の内に変わらぬ誇りを秘めている貴様なら。
たとえ一年の雌伏の時を経ようとも、
きっと、今なら。
・・・そう、
『きっと、今なら』
植物の性質をイメージして書いたつもりですが、中々昇華しきれませんでしたね。。。完敗です。
ちなみに、明日葉は「今日摘んでも明日には新しい葉が展開されている」というくらいに丈夫だと言われており、
また健康によい成分も含まれています。
其の分・・・かなりアクが強く、摘んでからしばらくたったものは「灯油のような香り」がするということで・・・苦手とする方も多いです。
新章が始まったばかりの「力を失ったままの一護氏」って、正にアクの強い状態で、自分をもてあましている状況だな、と。
・・・其れで終わる君じゃないでしょう?という気持ちがこういったものを書かせたのかもしれません。
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