『大きなヤドリギの珠の下で』



(あんなところに朽木のお嬢ちゃん・・・ちょっと面白いこと思いついたわ・・・。)


「やぁ、こんな寒空の下で誰か待ってんの?ルキアちゃん。」
「・・・き、貴様には関係ない。」
「そんなつれないこと言わんといてや。
現世では今日はクリスマスっていうお祭りらしいんよ。・・・なぁ、誰かと待ち合わせ?」
「・・・五月蝿い、用が無いならさっさと此処から立ち去れ。」

「あ、ルキアちゃん、ええ事教えてあげようか?」
「・・・・」
「まぁ待ち合わせの合間の暇つぶしと思うて聞いてや。
あのな、このルキアちゃんの後ろにある欅、この木の上をずーっと見てみ。」
「?」
「ホラ、あの辺りに緑の珠みたいな塊あるやろ、あれ、欅やないんやで。」
「は??」
「あれはヤドリギって言うて、欅の枝や幹に根っこを張って養分を吸って・・・寄生しとるんよ。
ま、見て分かるように緑色やから、ちゃんと自分でも栄養作ったはるんやけどね。」
「意外と博学なのだな、貴様。」

「そんなヤドリギが絡む現世の習慣があるんよ。
ま、クリスマス限定なんやけど・・・知りたい?」
「・・・な、何だ??私にあまり寄るな貴様!!
私は何も知りたいなどと言ってはおらぬ!!」

「クリスマスの日に、ヤドリギの下にいる女の子に対しては、誰でもみんなキスできるんやって。」
「!!」
「なあ、ルキアちゃん、ボクとちゅーっとしいひん?」
「寄るな!!・・・」
「ちなみに、女の子はそれを拒む事はできひんのや。それも掟なんやて。」
「ひっ・・・!!」

「−嘘。」

「き・・・き・・・貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ルキアちゃんキミってほんまにお堅いというか素直というか真面目というか擦れてないというか!!
おもろいナァ!!!」
「人をからかいおって!!クリスマスだろうがクルシミマスだろうが私には関係ない!!!
さっさと此処から立ち去れっ!!!」
「ああおっかない♪
これ以上キミを怒らせたら色々とおっかないからやめとくわ〜」

「ただ、」
「まだ私をからかうつもりか?」
「ボクがさっきルキアちゃんにお話したヤドリギの話は、現世にある本当の習慣や。
というても、遠い遠い国の話やけどね。
・・・あながち嘘やないから、ボクみたいにからかいのネタに使ったり、悪用されないように気ぃつけなアカンよ?」
「・・・貴様に心配される筋合いはない。」

「ルキアちゃん、キミは自分のことを分かっているようで、分からひんのや。
自分を取り巻く状況を知らんのやね。
ま、今のところはあの怖い怖いお兄さんが居はるからナァ。
ほな、いいクリスマスを〜!!」

(今はええよ、今は。
せやけどあのお嬢ちゃんは知らなさ過ぎるんやないか?
・・・知らなさ過ぎる状況にルキアちゃんを置かはったのも、策の内なんかな、あのお兄さんは。

・・・知らなければ、思うが侭、為すが侭、ってところやろか。

ボクより何考えているか分からひんなんて、おっかない人やナァ。)






クリスマスの日にヤドリギの下に・・・というのは、本当に西洋で昔から言われている習慣だそうです。
(厳密には、ヤドリギで作った枝飾り(リースみたいなものでしょうか?)の下、だそうですが。)

拙宅ではクリスマスだからって甘い品なんて無理だったのさ。。。

 

 

 

 

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