『林檎うさぎと御礼返し』

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(翌朝)

「さ、これを持ってお行き。薄い塩水につけておいたから、もうしばらくは色が変わらないじゃろ。」
「うさぎさんがたくさん!!」
「丁度いい包みがなかったから、おにぎりのように竹の子の皮に包んでおくからね。」
「ありがとう!!」
「じゃ、瀞霊廷の門の近くまでお前さんを連れて行こうかね。日も出てきたから外に出ても大丈夫じゃろ。」

「おばあちゃん、」
「なんだい?」
「おばあちゃんの手、しわくちゃだね。」
「そりゃあ、年を取った手だからね。しわくちゃにもなるよ。」
「でも、あったかいお料理作ったり、林檎をうさぎにしたりできる、すごい手なんだね!!」
「そうかい?」
「うん!!
あたしの居る隊はね、鬼道を使っちゃいけないみたいなんだけれど、おばあちゃんみたいなのだったらみんなビックリして使っても大丈夫だって言うかも!!」

「さて、ここまでじゃな・・・お前さんしか此処から先には行けぬから。」
「え〜!!」
「ほら、お行き。みんな心配しとるじゃろうからね。」
「またうさぎ、作ってくれる?」
「ああ、またおいで。でも皆に心配掛けないように、ちゃんと明るいうちにおいで。」
「うん!!じゃーね、おばあちゃん!!」



「・・・ってことがあったの。」
「なるほど、それで林檎を・・・。」
「へぇ、この副隊長をそんなに手厚くもてなしてくれたんじゃあ、ちったぁ御礼に行かなきゃならねぇな、弓親。」
「そうだね、一角。どんな方なのかお顔合わせをしたいものだね。」


「・・・おい、草鹿副隊長が昨日流魂街でエライ目に遭ったらしいぜ。」
「ハァ?あの副隊長が?冗談だろ??」
「いや、俺もまさかとは思ったんだけどよ、さっき副隊長と斑目三席と綾瀬川五席が話をしているのが聴こえてよ。御礼参りに行かなきゃならねって。」
「そんなにひでぇ目に遭ったのか??そりゃ黙っちゃ居られねぇな、十一番隊としてはヨォ・・・。」


「おいババア、昨日はうちの隊の副隊長が世話になったようだな!!
落とし前をつけに来させてもらったぜ。」
「・・・なんだい、客人かと思えば死神さんが乱暴に戸を開けて。壊れたらどうするんだい?」
「しらばっくれんじゃねぇぞ!!昨日テメェが散々な目に遭わせた死神ってのはよ、」

「・・・あれ?みんなどうしたの?」

「く・・・草鹿副隊長ぉぉぉ???」

「何だお前ら、ここん家に何しに来た?」
「斑目三席!!・・・いや、何しにって、昨日草鹿副隊長がこの家のババアに」
「ああ、迷子になっていたところを泊めてもらって、色々とお世話になったんだよ。
とてももてなしてもらって、林檎のお土産まで貰って・・・ほくほくしながら帰ってきたからね。
あまり心配はしていなかったけれども、まさかお土産付きで戻ってくるとは思わなかったよ。」
「じゃあ、その・・・御礼参りとかいうのは・・・・」
「草鹿副隊長の一宿一飯の御礼さ。
この副隊長のことだから、そういうことを考えちゃいないだろうからね。
ちゃんとご挨拶と御礼に伺わなければと思って此処まで案内してもらったのさ。」
「・・・本当の御礼だった・・・んすか・・・?」

「・・・で、お前ら、何でこんな軒先で刀を抜いてんだ?アァ??」
「しかも建具まで踏み倒して・・・盗賊ごっこでもするつもりだったのかい?」
「え、あ・・・そ・・・その、コレは・・・・」
「まさか、草鹿副隊長の恩人に、其れを向けるような真似をしようとしたわけじゃネェだろうな?」
「ましてや相手は虚じゃない、流魂街の一住民だよ?
そんな愚かで野暮で十一番隊に相応しくない、何より美しくない風体を晒しに来た訳じゃないだろうね????」
「ついでにお前ら、ここん家・・・誰の家か分かってんだろうな・・・。」
「え????」

「・・・あのお冠な方々は、お前さんのお仲間かい?」
「つるりんとゆみちーっていうの。剣ちゃんは朝から出かけちゃったから、いっしょに二人が来てくれたの。
剣ちゃんも、御礼を言ってたって伝えてほしいって。」
「おやおや・・・賑やかな御礼だこと。」


(それからしばらくたった年の瀬・・・・)

「ばーちゃん、今戻った。急いで大掃除と年越しの準備・・・を・・・・」
「おや、お帰り。寒かったろうから早よう囲炉裏に当たりなさい。」
「・・・あのさ、なんか掃除、終わってないか??
そういえば薪とかも十分に積みあがってるし・・・何故だ???何があった???」
「いや、お前さんのお仲間の死神さんたちが手伝ってくれてね・・・一宿一飯のお礼だって言って、
綺麗にしてくれたり薪を割ってくれたり色々としてくれたんじゃよ。
入口の建具も前のよりも立派なものにしてくれて、障子の張替えとかもしてくれてね・・・孫が年の瀬には戻るから大丈夫じゃよと
言ったんじゃがの。」
「俺の仲間の死神・・・?どこの誰だ・・・?
しかも『死神さんたち』ってことは、一人じゃねぇよな・・・・。」

「お茶でも飲んで一息付きなさい。甘納豆も林檎もあるからね。」
「あ・・・うさぎだ。懐かしいなぁ・・・。」
「昔は冬獅郎もコレで喜んだものだねぇ。いつの時代もコレはみんな大好きなのかね。」
「あまり昔の話をするなよばーちゃん・・・。」






シロちゃんおばあちゃんは・・・かなり肝が据わっているというか、達観している方だろうなと勝手に思ってます。
(シロちゃんを引き取ったり、自分から「死神になる」と言いだすまでずっと待ち続けてたり・・・。)

 

 

 

 

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