「幽明を分かつ、火焔の華」
この世界のモノには必ずと言ってもエェ位に「境」が存在するんやけど、
意識したこと、ある?
例えば、 そうやなぁ・・・ボクの大好きな柿。
干し柿はホンマに旨いやん。ボクが自分で作るくらい好きなもんや。
・・・そんな『干し柿』が『干し柿』足りうるのは、
『干し柿』と『そうではないもの』の見ぇひんくらいの間に『境』があるから。
色々なモンを分かつ『境』。
ソレがあるから、モノはモノとして存在しはる。
ボクがボク足りうるのも、
全てはそういった『境』のお陰、という訳や。
せやけど、
ホンマに見えない位の狭い狭い間にあるはずの『境』が、見えてしまう時があるんよ。
しかも厄介なことに、ボクがさっき言った『境』とはちょいと違う性質のモンや。
・・・ほら、アレ。
あの紅い、一筋の・・・
・・・燃えているように紅い、曼珠沙華の帯。
モノをモノとして分けはったのとは違う、世界を分けはったようなモンやな。
あの帯の先と、其れより手前の世界を、や。
あの先には、何があるんやろな。
なァ、行ってみたいと思わへん?
確かめたいと思わへん?
・・・いや、あかん。
行くのはボクだけや。
その先に行って確かめるのは、今はボクだけでええんよ。
・・・何で泣くん?
ボクの事嫌いやなかったか?
ボクの事憎いんやなかったか?
何や急に「往くな」って・・・。
・・・此方と彼方を分かつ華。
火焔のような彩りで示す幽と明の境を、
越えるも越えぬも、ボク次第。
彼・・・浦原さん並に読めない方ですね。
とはいえ、ブレることなく自分の意思を貫き通してずっと生きてきたという姿は、素直にカッコいい、と思います。
(でもそのために泣く羽目になった方が何人いるのか・・・全く。)