『さよならは言わぬぞ』
一護、
最初にお前と遭った時、山吹色の頭をした只の現世の人間に何が出来るものか、と思った。
ろくに力もない只の生者が、と。
だが、
貴様は私の霊力を奪うほどに内なる力を秘めていて、
その力で現世の虚とまともに戦っていた。
私が罪人として囚われの身となった時には、
「来るな」と言っても仲間と共に私を追って来てくれた。
現世、尸魂界、そして虚圏での戦いの中で、
貴様の内に秘められた力が次々と開花していったな。
・・・こちらが怖くなるほどに。
いつも貴様はそうだ。
其の身を半ば投げ打つ覚悟で、
其の力を半ば棄て去る覚悟で、
其の心も半ば失う覚悟で、
・・・どうしていつも無茶なことを。
今回は、その代償が大きかったようだな。
良く効く薬が強い副作用を持つように、
貴様の得た力が・・・貴様から力を奪っていったのだな。
その強い力を引き出さんとしたが故に、貴様には何も残らなかった。
一護、
貴様とこうして対峙している今、只の現世の人間となる貴様に何が出来るだろうか。
そう、ろくに力もないのは、私のほうだ。
この期に及んでなお、貴様に何もしてやれぬのだから・・・。
だが、
貴様なら、きっとまた自分の力で霊力を取り戻すのではないか、
其の力で自ら再び死神代行となることを選ぶのではないか、
そして、また私たちと共に戦えるときが来るのではないか、
そう思えてならないのだ。
いつも貴様は、そうだっただろう?
己の身を鍛えて強さを求め、
己の力を信じて突き進み、
己の心を見つめ歩み続け、
・・・そうして道なき道を切り開いてきたのだから。
だから、辛気臭い顔はするな。
一度普通の現世の人間に戻るだけで、これから先のことは分からぬから。
貴様が再び得た力で・・・また会えるかもしれぬからな。
私が見えなくなっても、貴様に残るのは別離の悲しみだけではないはずだ。
そう、私はここにいる。
見えなかろうと、感じなかろうと、私だけではない、貴様と共に戦った仲間が。
だから私も、辛気臭い顔は見せない、つもりだ。
「お別れだ、一護。」
「じゃあな、ルキア。」
ただ、一言だけ・・・
いまや貴様に聞こえるのかどうかは分からないが・・・
どうか、この思いだけでも届いて欲しい・・・
ありがとう
こちらが『金水引』です。花言葉は『感謝』
一見普通の雑草ですが、隠れた(しかも凄い)薬効があったり、
『ひっつきむし』(中々離れてくれない)としても有名なんです。
今回は、そんな金水引の性質を一護氏に重ねてみたのですが、
直接この植物が出てくるわけではないです(挫折)
暫くはルキアさん出てこないんでしょうか・・・?ちょっと不安です。
でも、一護氏が普通の人間に戻ってすんなりと生活するなんて想像できないので、きっと霊力を取り戻して再会することでしょう。
(そう期待しています!!!!!!・・・というか、信じてます。。。)
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